湿熱の鍼灸施術の例
肩こりとむくみ【35歳・女性】
TAG:むくみ, ストレス, 気逆, 湿熱, 肝欝気滞, 肩こり | COM:0
朝の起床時に、非常に強い肩こりと首にむくみを感じる。
同時に、出勤するまでに腹痛下痢を起こし、トイレに3回ほど行かなければならない。
肩こりは昼頃に、身体を動かしているといったん楽になるが、勤務後には、全身の倦怠感とともに再度悪化する。
初回の施術の3ヶ月前に、パート勤務を始めたころから悪化。
マッサージをうけても、その時に気持ちが良いだけで、ほとんど変化しない。
【証】
肝欝気滞(カンウツキタイ)、気逆(キギャク)湿熱(シツネツ)
【経過】
初回と2回目の施術は、気を巡らせることを目的に「百会」に置鍼。
緊張が緩み、呼吸が深くなる。朝の腹痛下痢が軽減。
一日を通して肩こりは楽になってきているものの、ピーク時は8割残存してる。
3から4回目の施術は、湿熱を排泄することを目的に「胃兪」に置鍼。
施術をした翌日から3日間下痢が続く。(湿熱を排泄している下痢なので、薬などで止めないように指示)
下半身のむくみがましになるとともに、体重が3kg減少。
それとともに肩こりが軽減。朝がとても楽になったとのこと。
【古田のコメント】
この方は、パート勤務を始めたことの精神的ストレスによって、「気」のめぐりが悪くなると同時に、
ストレスによって胃腸の働きが低下(肝脾不和)したため、「水」のめぐりも悪くなり、余分な水分が身体に溜まっている状態となり、その結果、肩こりを引き起こしていると考えました。
このような肩こりは、マッサージや運動だけでは一時的に軽減してもすぐにもとに戻ってしまうという特徴があります。
最初は、「気」のめぐりをよくすることを目的に、3回目の施術からは、「湿熱」を大便で排泄する処置をしています。結果、肩こりが軽減するとともにむくみもあまり感じなくなったとのこと。
この間、1本の針で効果を確かめながら施術をしているので、身体がどの様に病んでいたのかを正確に把握することができました。
身体の状態を正確に分析、把握できると、今後この方がどの様な病気にかかりやすいか予測することができ、またそれを予防する手段(施術、養生指導)も明確になります。
また、身体が楽になるとともに、仕事中の精神的なストレスもあまり感じなくなってきたと、前向きに仕事をされています。
精神的なストレスに身体からアプローチできるのも、鍼灸の特徴です。