院長・スタッフコラム
身体を守ってくれる気について
TAG:東洋医学 |
地天堂鍼灸院の古田です。
いつもこのコラムをご覧くださって
ありがとうございます。
唐突ですが、
身体の体表をおおっている気がありまして、それを衛気といいます。(えきと読みます)
身体を守ってくれている気です。
この気を意識して鍼をすると、とても効果がでやすくなります。
今日は衛気(えき)のはなしです。
僕は子どもの頃、とても「くすぐったがり」でした。
たとえば、
姉が僕にいじわるをして「こちょ、こちょ」って言いながら、
手でくすぐる真似をするだけで、
脇の下の辺りがモゾモゾしてきて、
「やめてー!」って言うくらい「くすぐったがり」でした。
触られてもいないのに、脇の下がモゾモゾするのはなぜでしょう。
衛気(えき)が反応しているからと、考えます。
「くすぐったがり」の人じゃないとわかりにくいかな?
では、これはどうでしょう。
嫌いな人に触れられるのと
好きな人に触れられるのは
なんであんなに身体の反応が違うのでしょう。
嫌いな人の手が、脇の下に伸びでくることを想像してみて下さい。
たぶん手が近づくだけで、触れられる前から身体が反応すると思います。
衛気が反応して乱れていると考えます。
衛気を乱さずに鍼をする、とよく鍼は効きます。
なので、触れられて「気持ちいいな〜」と感じる人の鍼はよく効くということになります。
古田
風邪なの?
TAG:風邪 |
こんばんは。
古田地天堂鍼灸院院長の古田です。
久しぶりのコラムです。
いつもコラムをご覧いただいてありがとうございます。
立春を過ぎたところなので、日差しは少しずつ強くなってきましたね。
暖かい部屋の中から、外を眺めると暖かそうに見えますが、
実際外にでるとものすごく寒くてびっくりします。
最近風邪を引きそうな患者さんが多いです。
本人に聞いてみても、ほとんど自覚がない場合も多いのですが、
ツボが教えてくれます。
たとえば、
手首の近くにある「外関」「太淵」、
背中では、「肺兪」
腰にある「膀胱腧」
などのツボが冷えて発汗しはじめます。
これらは、風邪(ふうじゃ)から身体を守ってくれている気(「衛気」をいいます)が弱ってきているサインです。
「衛気」がよわる原因は人により色々あるのですが、
今は「胃腸の弱り」(脾虚)の人が多いですね。
その場合は、
背中の「脾腧」や
お腹の「中脘」
足の「太白」「公孫」などのツボを使います。
鍼をすると、
「身体が芯から温まってきた」
「手足があたたかくなってきた。」
「肩こりがゆるんできた」
といって、喜んでもらっています。
寒い日がしばらく続きますが、
風邪を引かずに、元気にいきましょう。
古田
ヒポクラテスと季節の養生
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こんにちは。古田です。
今日は、『季節の養生はなぜ大切なのか?』について、書いてみます。
東洋医学では、人はもともと自然界の一部であるから、気候が変われば、人の身体も変わると考えます。
これを「天人合一」といいます。
季節によって、その季節に対応した身体にすることができれば、病気を防ぐことができます。
養生は、「季節に応じた身体の作り方」をまとめたもの、ともいえます。
また、東洋医学では、夏に不摂生をすると、秋や冬に病気になる。ともいいます。
春の間に夏の準備をし、夏の間に秋の準備をする。
そんな知恵が、東洋医学にはあります。
ところで、
この考え方は東洋医学だけのものではなく、古代ギリシャの医者、「医学の父」と呼ばているヒポクラテスも同じように考えていました。
以下『風の博物誌」ライアル・ワトソンより引用
『空気と水の住所について』ヒポクラテス
「医学を正しく行わんとする者はこのような手順を守るべし。第一に一年のうちのそれぞれの季節がどんな影響を及ぼしうるかを考慮せよ。
季節はそれぞれまったく異なるが、同じ季節でも時によって、また季節の変わり目に大きな差異があるからである。
次に留意すべきはとりわけ遍く吹く熱風と寒風だが、特定の地域に固有のものもしかり。
…知らない町に着いたら医者はただちに、風から見たその町の位置を調べるべし」
季節の養生は、今も昔も、地域に関係なく、健康管理の基本であることがわかりますね。
なぜ患部ではない部位に施術をするのか?
TAG:東洋医学 |
こんにちは、荒木です。
2年間の沈黙を破って、再登場です(*´∀`*)
今から書くことは、私自身がこれまでに経験した事や学習した事に基づきます。
賛同される方もされない方もいらっしゃると思います。
ひとつの考え方として、読んでいただければ嬉しいです。
皆さんは、『患部に鍼をするのが当たり前だ』と思っていないですか?
地天堂鍼灸院では、患部以外に施術をする事が多いです。
なぜ、患部ではない部位に施術をして症状が改善されるのでしょうか?
はじめに、患部に直接施術をして改善する話を書きます。
今をさかのぼること約3年前のことです。
私も鍼灸学校の学生時代に、肩こりの治療で安全に肩へ鍼を打つ方法を習いました。
これは、肩こりの原因が肩にある筋肉が凝り固まっているので、凝り固まっている肩の筋肉に直接鍼を打って、凝り固まっている筋肉を緩めて血行を促進し、肩こりを治そうという考えに基づく治療方法です。
上記が、患部に直接鍼を打つ治療方法です。
それでは、なぜ肩こりの時に肩こりの原因になっている筋肉に直接鍼をせずに、違う部分に鍼を打つのか?について、書いてみます。
『なぜ肩こりが起きたのか?』を東洋医学に基づいて考えます。
たとえば
1)食べ過ぎる→消化を司る臓器が弱る→気の流れが悪くなる→肩こり
2)食べ過ぎる→消化を司る臓器が弱る→水の流れが悪くなる→肩こり
3)イライラする→怒りに関係する臓器が直接弱る→気の流れが悪くなる→肩こり
4)イライラする→怒りに関係する臓器が、消化を司る臓器を弱らせる→気の流れが悪くなる→肩こり
etc…
このように肩こりは内蔵の弱りから起こることが多いと考えます。
ここが東洋医学独自の考え方なのですけど。
まだまだいっぱい考えられますが
とりあえず上記4つの可能性が出てきたと仮定して次にすすみますね。
あとは、問診の内容と、体表観察(見た目、声、脈診や舌診、全身のツボや爪の状態、etc)で、一番の原因を探ります。
今回、食べ過ぎが原因だ!!と分かったら、大便が出やすくなるツボや、消化を司る臓器に関係するツボに鍼をします。
このツボ(消化を司る臓器に関係するツボ)が、患部以外の手足や、お腹や背中にあったりします。
右足のこのツボ!!ここが、一番効くねん!!という場合、肩ではない部分に結果的に鍼を打つことになります。
以上の理由で、患部ではない部分に鍼を打つことが多いです。
東洋医学では上記の様な理由により、腰痛と肩こりの人という様に症状が異なっている場合でも、原因が同じでツボの反応も同じとなれば、同じツボに鍼を打つことはあります。
長々と書きましたが、最後まで読んでくれてありがとう御座います。
文:荒木かおり
立春
こんにちは、荒木です。
今年の2月4日(土)は、立春でした。
まだまだ寒い日が続きますが、暦の上では春になりました。
古典の黄帝内経素問の『四気調神大論篇』に
春三月.此謂発陳.
天地倶生.萬物以栄.
夜臥早起.広歩於庭.被髮緩形.以使志生.
生而勿殺.予而勿奪.賞而勿罰.
此春気之応.養生之道也.
逆之則傷肝.夏爲寒変.奉長者少.
とあります。
詳しい解説については、色々な本が出版されているので、それを参考にして下さい。
この文章の中に発陳という単語があります。
東洋学術出版社『黄帝内経素問上巻』の注釈によると、
発陳ー陳(ふる)きを推し出して新しきを出すという意味。
また、燎原『漢方用語大辞典』によると、
発陳【はっちん】ー陽気が生じ、春の到来をつげること。
と、あります。
春には、冬の間閉じこもっていた生命が、上に向かって芽吹いてきます。
人間も、自然の一部です。
人間の場合は、気が昇りやすくなります。
昇ること自体は、自然なのですが、それが過剰になると、カラダの不調を起こしやすくなります。
例えば、
肩こり
頭痛
耳鳴り
めまい
花粉症etc…
症状としては、カラダの上部の変調を起こしやすいです
(逆に足腰等、体の下部が弱る事もあります)
毎年、春先に体調が悪くなりやすい人は、過剰に気が昇りやすくなってるかも知れませんえっ
ただし、悪いことだけではないですよ。
新しい事を始めるには、エネルギーが必要です。
春には、そのエネルギーが満ち溢れています。
先ほど書いた発陳という単語から、そのエネルギーを感じないでしょうか?
参考文献:現代語訳◎黄帝内経素問 石田秀実監訳 東洋学術出版社
漢方用語大辞典 創医会学術部主編 燎原
文:荒木かおり